「この人にまた頼みたい！」私が、仕事の最後に多くを語らない理由。

プロジェクトが、終わった。しかし、期待したほどの成果は出なかった。あなたは慌てて、上手くいかなかった理由を理路整然と説明する長いメールを書き始める…。

あるいは、プロジェクトが、大成功に終わった。あなたは興奮して、今回の成功がいかに自分の戦略のおかげだったかを、詳細に報告する資料を作り始める…。

もし、少しでも心当たりがあるなら、あなたはプロとして、最も大切な「信頼」を、知らず知らずのうちに失っているのかもしれません。

こんにちは。「ウレルの文章相談所」のウレルです。今回は、私が10年間、結果だけが求められる世界で戦い抜いてきた経験から学んだ、「なぜ、仕事の終わりには『ありがとうございました』の一言だけでいいのか」という、究極のコミュニケーション術についてお話しします。

まず、上手くいかなかった時の話から。これは残酷な真実ですが、クライアントは、あなたの言い訳や、上手くいかなかった理由には、全く興味がありません。

なぜなら、彼らがあなたにお金を払ったのは、「素晴らしい挑戦の物語」を聞くためではなく、ただ一つ、「ビジネス上の結果」を出すためだからです。

どんなに説得力のある理由を並べ立てても、クライアントの耳には、それは責任転嫁や能力不足の言い訳にしか聞こえません。語れば語るほど、あなたのプロとしての信頼は失われていきます。

上手くいかなかった。その事実を、静かに受け止める。そして、次の機会で結果を出すための糧にする。プロとしてできることは、それだけです。

では、上手くいった時はどうでしょうか。「これだけの結果を出したのだから、自分の功績をアピールすべきだ」そう思うかもしれません。しかし、それもまた、大きな間違いです。

なぜなら、最高の「結果」そのものが、最高の「報告書」だからです。

売上が2倍になったという事実以上に、クライアントを喜ばせるプレゼンテーションは存在しません。あなたの手腕は、その数字が、誰よりも雄弁に語ってくれています。

そこであなたが饒舌に自分の手柄を語ってしまうと、クライアントは心のどこかで「この人は、自分の手柄を主張したいだけなんだな」と感じてしまいます。

素晴らしい結果が出た時こそ、静かに微笑む。そして、すぐに次の課題に目を向ける。その姿勢こそが、クライアントに「この人は、自分の成功ではなく、私たちのビジネスの成功に集中してくれる、本物のパートナーだ」という、揺るぎない信頼を抱かせるのです。

上手くいっても、いかなくても、私がクライアントに伝える言葉は、いつも同じです。

「ありがとうございました」

この一言に、プロとしての全ての覚悟を込めています。

失敗した時の「ありがとうございました」 「私の力不足でした。しかし、この経験を次に活かすための、貴重な機会をいただけたことに感謝します」という、責任と反省の表明です。
成功した時の「ありがとうございました」 「あなたのビジネスに貢献する機会をいただき、光栄です。信頼して任せてくださったことに感謝します」という、謙虚さとパートナーシップの表明です。

余計な言葉は、ありません。ただ、結果と向き合い、機会を与えてくれたクライアントに感謝する。